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未払賃金請求訴訟/立証の方法(その4)

2010.11.04(17:47)

使用者は,各事業場ごとに労働者名簿を,各労働者(日日雇い入れられるものを除く)について,調製し,労働者の氏名,生年月日,履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならないこととされている(労働基準法107条)。
 そして,上記の事項の他,労働基準法施行規則53条1項により,下記の事項の記入が要求されている。

① 性別
② 住所
③ 従事する業務の種類(ただし,常時30人未満の労働者を使用する事業においては,記入することを要しない。
  )
④ 雇入れの年月日
⑤ 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあってはその理由を含む。)
⑥ 死亡の年月日及びその原因

 なお,使用者が本条に違反して労働者名簿の調製,記入又は所要の訂正をしない場合は,30万円以下の罰金に処せられる(労働基準法120条第1号)。

 この労働者名簿を提出させることにより,前述の請求原因事実(① 雇用契約の締結 ② 雇用契約中の賃金額に関する定め ③ 請求に対応する期間における労働義務の履行 ④ 毎月の賃金の締日と支払日)のうち,①の事実が明らかになる場合もある。

 また,前述のとおり,当該使用者に就業規則の作成義務が課せられていることを立証するためにも利用できる(もっとも,他の労働者に関する部分について提出命令が発令されることが前提となるが・・)。
その立証に成功すれば,就業規則の文書提出命令の申立が格段に認められやすくなるであろう。









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未払賃金請求訴訟/立証の方法(その3)

2010.10.06(18:37)

 労働基準法89条は,常時10人以上の労働者を使用する使用者は,一定の事項について就業規則を作成し,行政官庁に届け出なければならない旨規定している。

 その記載事項は以下のとおりである。

一 始業及び終業の時刻,休憩時間,休日,休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就 業時転換に関する事項

二 賃金(臨時の賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定,計算及び支払の方法,賃金の締切り及び支払
 の時 期並びに昇給に関する事項

三(省略)

四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては,これに関する事項

五~十(省略)


就業規則の提出を受ければ,前述の請求原因事実(① 雇用契約の締結 ② 雇用契約中の賃金額に関する定め ③ 請求に対応する期間における労働義務の履行 ④ 毎月の賃金の締日と支払日)のうち,②,④の立証が可能となる。

 しかし,就業規則の作成が義務付けられているのは,「常時10人以上の労働者を使用する使用者」であることに留意しなければならない。
 
 ケースによっては,予め後述する「労働者名簿」を提出させる必要もあるだろう。


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個別クレジット契約のクーリング・オフと取消権 

2010.09.06(12:03)

 拙稿「個別クレジット契約のクーリング・オフと取消権」が月報司法書士(こちら)に掲載されました。
 ご笑覧頂ければ幸いです。




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未払賃金請求訴訟/立証の方法(その2)

2010.08.23(18:14)

労働基準法15条は,「使用者は,労働契約の締結に際し,労働者に対して賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において,賃金及び労働時間に関する事項その他厚生労働省令で定める事項については,厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。・・・(以下,省略)・・・」とし,同法施行規則5条3項では,「厚生労働省令で定める方法」は「書面の交付とする。」と規定している。かかる書面のことを一般に「労働条件通知書」という。

労働条件通知書の記載事項は以下のとおりである(施行規則5条2項)。

① 労働契約の期間に関する事項
② 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
③ 始業及び終業の時刻,所定労働時間を超える労働の有無,休憩時間,休日,休暇並びに労働者を二組以上に分
 けて終業させる場合における就業時転換に関する事項
④ 賃金の決定,計算及び支払の方法,賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
⑤ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 なお,使用者が労働基準法15条1項の規定に違反して明示すべき範囲の労働条件を明示しない場合や厚生労働省で定める事項について定められた方法で明示しない場合には,30万円以下の罰金に処せられる(労働基準法120条第1号)。

 労働条件通知書の記載内容が判明すれば,前掲の請求原因事実(① 雇用契約の締結,② 雇用契約中の賃金額に関する定め,③ 請求に対応する期間における労働義務の履行,④ 毎月の賃金の締日と支払日)のうち②,④について明らかとなる。もっとも労働契約締結後にこれらの記載事項に変更がある場合もあるので注意が必要である。

つづく・・






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未払賃金請求訴訟/立証の方法(その1)

2010.08.18(18:41)

未払賃金請求の請求原因事実は,以下のとおりである(山口幸雄・三代川三千代・難波孝一編「労働事件審理ノート」判例タイムズ社82頁)。

① 雇用契約の締結
② 雇用契約中の賃金額に関する定め
③ 請求に対応する期間における労働義務の履行
④ 毎月の賃金の締日と支払日

さて,これらの請求原因事実に対する認否について,全て否認された場合,原告としてはどのような訴訟対応をすればよいだろうか。

労務管理の杜撰な会社に対する請求ほど,労働者の手持ち資料が少なく苦労することが多い。

私なりに文書提出命令の申立を利用した立証方法を検討してみたいと思う。

つづく・・









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  1. 未払賃金請求訴訟/立証の方法(その4)(11/04)
  2. 未払賃金請求訴訟/立証の方法(その3)(10/06)
  3. 個別クレジット契約のクーリング・オフと取消権 (09/06)
  4. 未払賃金請求訴訟/立証の方法(その2)(08/23)
  5. 未払賃金請求訴訟/立証の方法(その1)(08/18)
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