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制限超過利息の請求・受領を不法行為であるとした裁判例

2013.05.24(19:03)

貸金業者の制限超過利息の請求(暴行・脅迫を伴わない請求)を不法行為であるとして、当該貸金業者に損害の賠償(慰謝料2万円、司法書士費用2000円)を命じる判決がでました(岡山簡易裁判所平成25年5月13日判決)。
 少し事案の特殊性があり、また、損害の認容額が僅少ではありまあすが、最判平成21年9月4日の解釈について、暴行・脅迫を伴うものでなければ不法行為が成立しないかの如く判示する裁判例が多い現状にあっては、同最判を正確に解釈したものとして一定の価値があるのではないかと思いますので、不法行為に関する裁判所の判断を下記にご紹介いたします。
                 記
「貸金業者が、借主に対し貸金の支払を請求し、借主から弁済を受ける行為自体は、当該貸金債権が存在しないと事後的に判断されたことや、長期間にわたり制限超過部分を含む弁済を受けたことにより結果的に過払金が多額となったことのみをもって直ちに不法行為を構成するということはできず、これが不法行為を構成するのは、上記請求ないし受領が暴行、脅迫を伴うものであったり、貸金業者が、当該貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、あえてその請求をしたりなど、その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られるものと解され、この理は、当該貸金業者が過払金の受領につき、民法704条所定の悪意の受益者であると推定される場合においても異なるところはない(平成21年9月4日最高裁第二小法廷判決参照。)
 これを本件についてみるに、前項(1)の(イ)で認定したとおり、被告は、平成23年12月時点で原告に対する本件取引の債権額が1万5462円と記載した取引履歴を開示し、その後、原告が平成24年1月から3月までの間にその返済として1万8000円を支払い、これを受領したのであるから、平成24年3月時点で本件取引に係る貸金債権は完済されたと認識していたと認められる。にもかかわらず、同年4月に本件取引の残債権額が11万6188円である旨を記載した請求書を送付して請求したことは、貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、あえてその請求をしたものと認められ、更に、原告がその請求に応じなかったところ5月にも同趣旨の請求をし、これに困惑した原告が被告の請求した分割金を支払ったことなどから判断すれば、被告の原告に対する請求(甲3、4、5)及びこれに応じて原告が支払った金員を受領したことは、貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、あえてその請求と受領をしたと言うべきである。
 したがって、その行為は社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に該当するから、被告のこれらの行為は不法行為を構成する。
 損害2万2000円(内訳は次のとおり)
① 慰謝料2万円
  不法行為の態様、過払金額、被告の請求に困惑した原告がその対応を司法書士に依頼したことなどの諸事情を考慮すると、原告が受けた精神的苦痛を慰謝するに足る金額は2万円と認めるのが相当である。
② 司法書士費用2000円
  本件訴訟の内容、認容額、難易度、その他一切の事情を考慮すれば、上記被告の不法行為と相当因果関係のある司法書士費用相当の損害額は2000円と認めるのが相当である。」
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武富士役員の責任追及訴訟についての雑感

2013.05.21(10:47)

 広島地方裁判所は、被告らに「引き直し計算を行うべき義務」がないとして、原告の請求を棄却しています。

  しかし、裁判所は、この「引き直し計算を行う義務」の存否を問う前に検討すべきことがあるのではないでしょうか。

 武富士は、通常、顧客に対する貸付金について、利息制限法所定の利率を超過する利率(以下、「制限超過利率」という)により利息及び貸付残高を計算していましたが、そのような取扱いをするのであれば、貸付金に対する各弁済がそれぞれ貸金業規制法43条1項所定の要件を充足するものであることを確認する体制が構築されていたか否かを検討すべきだと思うのです。

 そもそも、貸金業者は、貸金業規制法3条所定の登録を受けているとしても、顧客に対する貸付金について、利息制限法所定の利率(以下「制限利率」という)の範囲内でその利息及び貸付残高を計算しなければならず、原則として、制限超過利率によりその利息及び貸付残高を計算することは許されないのであり、貸付金について制限超過利率により利息及び貸付残高を計算することができるのは、貸金業規制法43条1項所定の要件を充足するという極めて例外的な場合のみです(これは最高裁判例により確立された法理です)。

 したがって、貸金業者が制限超過利率により利息及び貸付残高を計算するのであれば、貸金業規制法43条1項所定の要件を充足するか否かを確認しなければならないのであり、当該貸金業者の役員は、かかる確認ができるような体制を構築しなければならないと思います。

 そうでなければ、本来であれば制限利率で計算すべきところ制限超過利率で計算してしまう誤りを見逃してしまい、ひいては、貸金業規制法18条に規定する書面に記載すべき「当該弁済後の残債務の額」につき、虚偽の記載をしてしまうこととなり、また、同法19条の帳簿の記載事項としての「当該弁済後の残債務の額」が虚偽のものとなってしまうこととなります。

 そして、これらに虚偽の記載をすることは罰則をもって禁止されている貸金業法の規定に違反するものですので、役員は会社をして「法令違反行為」をさせることとなり、任務懈怠責任を問われることになるからです。
 貸金業者は、原則として、制限利率内の利率で計算しなければならないのですから、制限超過利率で計算したことの是非を問う前に、「引き直し計算を行う義務」を検討するというのは、原則と例外が逆転した議論であり、本末転倒ではないかと思うわけです。

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みなし弁済の成立要件‐「利息又は損害金として」‐ ②

2012.01.18(11:58)

最高裁平成2年1月22日第二小法廷判決の解釈として「利息又は損害金として…支払った」とは,債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識していることで足り,債務者の利息又は賠償金への支払に充当する旨の指定は不要であるとする見解に立った場合,「利息又は損害金として支払った」と言えるためには,具体的にどの程度の認識(利息又は賠償金に充当されることの認識)が必要であろうか。

この点について,東京高判平成9年11月17日(金融法務事情1544号67頁)が「『利息として』又は『賠償として』支払ったと言うためには,債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識した上で支払うことを要するものであり,そのように認識した上で支払ったと言うためには,債務者においてATMにより弁済すれば,約定に従い機械的に利息,損害金に一定の利息,損害金,元金に充当されるという認識では足りず,具体的に一定の利息,損害金,元金に充当されるという認識を有することが必要である。」と判示していることが参考となる。

例えば,店舗等での弁済であれば,予め貸金業者から「利息,○○円,元金○○円の合計○○円です。」と口頭で告知されて債務者がこれを認識した上で支払うような場合や,ATMによる弁済であれば債務者が入金する前に「利息○○円,元金○○円,合計○○円」というような画面が予め表示されて債務者がこれを認識した上で支払ったような場合でなければ,利息又は賠償金に充当されることを認識した上で支払ったとは言い難いであろう。

これに対して,「毎月の支払の時点で直ちに具体的利息充当額を把握できなかったとしても,その支払額の中から契約で定められた利息及び計算方法により算出される額が利息の支払に充当されることを当然に認識しながら支払を行っていたものということができ,自己の自由な意思によって利息を支払を行ったものということができる」という見解がある(東京高判平成11年5月27日判例時報1679号37頁)。

しかし,この見解は明らかに前掲最高裁判例の解釈を誤ったものであるというほかない。 なぜなら,かかる見解によるならば,制限超過部分の利息又は損害金への充当を望まない債務者は,支払時に制限内の利息又は損害金を超える部分の全てについて元本へ充当する旨を指定しなければならなくならるからである。
換言すれば,債務者が「元本として」支払わない限り制限超過部分の利息又は損害金に充当される,という結論になるのであり,かかる結論は,利息又は損害金として支払わない限り元金に充当される,としている貸金業の規制等に関する法律43条1項ないし4項の趣旨及び明文の規定に反することが明白であるから,上記の見解は,前掲最高裁判例の解釈としても明らかに誤ったものであるというべきであろう。

なお,いずれにしても前記東京高判平成11年5月27日事案はいわゆる証書貸付によるものであり,予め利息額等も記載された償還表が配布されていたという事実認定の下での判断であるから,いわゆるリボルビング取引による金銭消費貸借取引による事案にはその射程は及ばないことに留意すべきである。

以上の検討を踏まえれば,少なくともリボルビング取引による金銭消費貸借において債務者の利息又は損害金に充当する旨の指定がない弁済の場合,貸金業者において予め利息又は損害金への具体的充当額を告知し債務者に認識させた上で弁済させたなどの事情がない限り,その支払は「利息又は損害金として」の支払ということはできず,みなし弁済が成立する余地は全くないというべきである。

そうであれば,かかる事案においては債務者の指定もなく,具体的充当額を認識させることもなくして受けた制限超過部分についてはみなし弁済が成立する余地は全くないのであるから,貸金業者が以後みなし弁済が成立するものとして貸付残高を計算して請求する行為は,当該超過部分について貸金債権が法律的,事実的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに,あえて請求したものと言うべきである。

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みなし弁済の成立要件‐「利息又は損害金として」‐ ①

2012.01.17(09:37)

みなし弁済の成立要件につき,最高裁判所事務総局監修の貸金業関係事件執務資料(法曹会)24頁では,

「1 消費貸借契約(利息・損害金契約)の締結のときに貸主が貸金業者であること
 2 業として行う金銭消費貸借上の利息又は損害金の契約に基づく支払であること
 3 利息制限法に定める制限額を超える金銭を
  ① 債務者が
  ② 利息又は損害金と指定して
  ③ 任意に
  ④ 支払ったこと
 4 法17条の規定により法定の契約書面を交付している者に対する支払であること
 5 法18条の規定により法定の受取証書を交付した場合における支払であること」
と解説していた。

 これが現在の執務資料では,前記3の要件について「債務者が超過利息等を利息又は賠償(損害金)として任意に支払ったこと」として,「債務者の指定」は要件から外れたかのごとく解説している。

 これは最高裁平成2年1月22日第二小法廷判決の「法43条1項にいう『債務者が利息として任意に支払った』及び同条3項にいう『債務者が賠償として任意に支払った』とは,債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識した上,自己の自由な意思によってこれらを支払ったことをいい,債務者において,その支払った金銭の額が利息制限法1条1項又は4条1項に定める利息又は賠償額の予定の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しないと解するのが相当である。」と判示したことを受けて「認識」があれば「指定」は必要ないと解釈したものであると思われる。

 しかし,同最判は「…認識した上,自己の自由な意思によってこれらを支払ったこと」をいう,すなわち,「…認識した上…これら(利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金)を支払ったこと」をいうとしているのであるから,同最判によって「債務者の利息又は賠償金への支払に充当する旨の指定」がみなし弁済の成立要件から外れたとは必ずしも言えないであろう。

つづく…

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出会い系サイト詐欺被害

2011.11.28(08:04)

 近年インターネットが普及する中,出会い系サイトに関する被害が急増,深刻化しています。
注目すべきは,被害者自身が「出会いの場」を求めて自ら積極的にサイト利用登録しているというケースに限られず,むしろ,多くの被害は「懸賞サイトや無料占いサイトに登録したところ出会い系サイトに登録された」,「『高収入』のバナー広告をみてクリックしたところ登録された」など,自らの意図に反して出会い系サイトに登録されたことを契機として発生していることです。
 そのため近年の状況としては,性別,年齢を問わない幅広い層に被害が及んでいます。国民生活センターの公表によれば,高齢者が被害に遭うケースも増加していることが明らかとなっています。
 そして,被害の内容としては,登録後に他のサイト利用者(サイト業者が用意したサクラであることが疑われる)から,「会いたい」「悩みを聞いて」「お金をあげる」などと巧みに有料メールのやり取りを続けさせられ(メール交換等のたびにサイト利用料が課金され,消費者がメール交換等をすればするほどサイト業者が収入を得られる仕組みとなっている),騙されたと思ったときには,既に多額の費用を支払ってしまっているというものです。

 メール交換等をする度に課金されるシステムを採用している出会い系サイトについては,他のサイト利用者がサクラである可能性を十分に疑ってみる必要があります。

 利用料が返還されるケースもありますので,実際に被害にあった場合でもあきらめずに弁護士,司法書士等に相談することをお勧めします。

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